●短時間正社員制度
正社員は、必ずしもフルタイム勤務である必要はありません。最近では、フルタイムの社員と同等若しくはそれ以上の意欲や能力があるものの、育児や介護、障害等の理由から時間制約をもつ社員が増加傾向にあります。短時間正社員制度は、働き方に対する価値観が多様化する中、それぞれの人が、それぞれのライフスタイルやライフステージに応じた多様な働き方を選択し、実現させるための一つの制度です。これまで、育児や介護等の事情から時間制約をもったことで社員として働き続けることができなかった人にも、時間制約を持った後も社員として働き続けてもらうことを実現するための働き方となるのです。また、育児や介護以外にも、就労意欲のある高齢者や障害を持った方でフルタイムの勤務は難しいが短時間であれば働くことが可能である方など、より多様性のある人財を企業として受入れるための土台ともなる制度です。短時間正社員制度は、育児・介護だけでなく、多様な人財の活用という面からも価値のある制度と言えます。
短時間正社員とは、以下のような働き方を示します。
短時間正社員とは、フルタイム正社員と比較して、1週間の所定労働時間が短い正規型の社員であって、次のいずれにも該当する社員のことを言います。
(1)期間の定めのない労働契約(無期労働契約)を締結している
(2)時間当たりの基本給及び賞与・退職金等の算定方法等が同種のフルタイム正社員と同等
※フルタイム正社員・・・1週間の所定労働時間が40 時間程度(1日8時間・週5日勤務等)で、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)を締結した正社員
(出典:短時間正社員制度 導入支援ナビ HP)
また、短時間正社員制度を導入するメリットとしては、以下のようなものがあります。
(企業)
・意欲・能力の高い人財の確保
・働き方の見直しによる生産性の向上
・従業員満足度向上によるモチベーションアップ
(労働者)
・より自律的なキャリア形成
・職場の長時間労働の解消
・ワークライフバランスの実現
(社会)
・仕事と育児の両立から少子化への対応
・労働力人口減少への対応
・企業の生産性が上がることでの経済環境の改善
現在、国を上げてこの短時間正社員制度を推奨しています。背景にあるのは、急速に進む少子化への危機感です。厚生労働省は、「短時間正社員制度 導入支援ナビ」というホームページを設置し、導入事例の紹介や、制度紹介のパンフレット、セミナー用の資料の雛形のダウンロードができるようになっています。また、短時間制度を導入することで受けられる助成金もあります。短時間正社員制度を規定し、雇用する労働者を短時間正社員に転換し、または短時間正社員を新規で雇い入れた場合に利用できる助成金で、キャリアアップ助成金というものです。支給対象者1人あたり最大20万円まで支給され、支給対象者が母子家庭や父子家庭の場合は10万円の加算があります。(ただし1年間に10人までが支給上限となります。)現在、国を挙げて企業の働き方の見直しを推進する流れが来ています。短時間正社員制度の導入を検討される際は、利用できるものは利用しながら、より負担の少ないカタチで導入を進めていくことをお勧め致します。
短時間労働正社員について
改正育児・介護休業による短時間勤務制度の義務化

(例)目標およびKPI
☆パートタイム労働法・改正のポイント☆
●正社員と差別的取り扱いが禁止されるパートタイム労働者の対象範囲の拡大
<現行>
@職務の内容が正社員と同一 A人材活用の仕組みが正社員と同一
B無期労働締結をしている
↓
<改正後>
@Aに該当すれば、賃金、教育訓練、福利厚生施設の利用をはじめ全ての待遇について、正社員との差別取り扱いが禁止される。
●事業主による説明の義務
パートタイム労働者を雇い入れた時は、実施する雇用管理の改善措置を事業主が説明しなければならない。
・賃金制度について
・どのような教育訓練や福利厚生施設があるのか
・正社員転換推進措置はあるのか 等
●説明を求めたことによる不利益取り扱いの禁止
●相談に対応するための体制整備の義務
●相談窓口の周知
雇入れ時に書面で明示しなければならない事項に「相談窓口(相談担当者の氏名、相談担当の役職、相談担当部署など)」が追加される。
●厚生労働大臣の勧告に従わない事業主の公表制度の新設
●虚偽の報告などをした事業主に対する過料(20万以下)の新設
パートタイマー
パートタイム労働者とは?
→パートタイム労働法第2条において「1週間の所定労働時間が同一の事業所に雇用される通常の労働者の1週間の所定労働時間に比べて短い労働者」と定義されています。
「アルバイト」「パート」「準社員」など、呼び方は異なっていても、上記の条件に当てはまっていれば対象となります。
!!パートタイム労働法が改正されます。(施行日・平成27年4月1日)!!
今回の改正は企業へ大きく影響を与えると考えられます。
改正ポイントをしっかりと把握して対策をとっておきましょう。
パートタイム労働者の労務トラブルは増加傾向にあります。
トラブルが起こってしまってから、または労働基準監督署の是正勧告を受けてから慌てて対処するのでは遅いのです。正社員と異なる取り扱いや責任等、違いをきちんと区別して就業規則に規定する、または別規定をつくるなどしてしっかりと対策をとっておきましょう。
パートタイマーであっても、以下の条件を満たす場合には加入させる義務があります。
<雇用保険>
@ 31日以上引き続き雇用されることが見込まれる場合
A 1週間の所定労働時間が20時間以上であること
この2つの条件を両方満たす場合には、雇用保険に加入させる義務があります。
<社会保険(健康保険+厚生年金保険)>
@ 1日または1週間の所定労働時間が通常の従業員のおおむね4分の3以上であること
A 1ヶ月の所定労働日数が通常の従業員のおおむね4分の3以上であること
この2つの条件を両方満たす場合には、社会保険に加入させる義務があります。
年次有給休暇は正社員にのみ与えれば良いと考えている会社も少なくありません。
しかし、年次有給休暇はパートタイマーにも認められています。
年次有給休暇の取得条件@6ヶ月間継続して勤務していることA全労働日の8割以上出勤していることを満たしていれば、正社員であるかパートタイマー・アルバイトであるかは関係ないのです。
ただし、労働時間・労働日数に応じて以下のように付与することとなります。
■ 1週間の労働日数が4日以下で、週の労働時間が30時間未満
有給休暇付与日数表
■ 1週間の労働日数が5日以上、または週の労働時間が30時間以上
有給休暇付与日数表
パートタイマーは時給制になっていることが多いので、残業代を支払わないで良いのでは?と考えている会社も少なくありません。
しかし、パートタイマーも法定労働時間(1日につき8時間、または1週間につき40時間)を超えた場合などには割増賃金を支払う必要がありますので注意が必要です。
パートタイム労働者だからといって、いつでも自由に解雇できる訳ではありません。
労働基準法が適用されることは、正社員と変わりないのです。
解雇にあたっては30日前に解雇予告を行うか、30日分以上の解雇予告手当の支払いが必要となります。
もちろん、解雇するには正当かつ合理的な理由がなくてはなりません。就業規則に記載した「解雇の事由」にあたるか等、慎重に検討しましょう。
パートタイマーを雇い入れる時は、労働基準法で文書交付による明示が義務づけられている事項の他に、「昇給、賞与、退職手当の有無」(H27年4月からは「相談窓口」も加わる)について、文書の交付等で明示しなければなりません。
パートタイマーに退職金を支給しない場合には、その旨を採用時に書面等によって明確に示す必要があります。また、正社員用の就業規則の他に別規定「パートタイマー就業規則」を作成しておくと良いでしょう。
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