
マイナンバー制度が導入される理由
マイナンバーは、住民票を持っている全ての人に1人1つの番号を付して、社会保障、税、災害対策の分野で利用することを目的としています。マイナンバー制度が導入されると、複数の機関に存在する個人の情報が同一人の情報であることを確認できるため効率的な手続きをすることが可能になります。マイナンバー制度が導入されることによって期待される効果は大きく3つあげられています。
1つめは、所得や他の行政サービスの受給状況を把握しやすくなるため、負担を不当に免れることや給付を不正に受けることを防止し、本当に困っている方に国がきめ細かな支援を行えるようになります。(公平・公正な社会の実現)
2つめは、添付書類の削減など、行政手続が簡素化され、国民の負担が軽減されます。また、行政機関が持っている自分の情報を確認したり、行政機関から様々なサービスのお知らせを受け取ったりできるようになります。(国民の利便性の向上)
3つめは、行政機関や地方公共団体などで、様々な情報の照合、転記、入力などに要している時間や労力が大幅に削減されます。複数の業務の間での連携が進み、作業の重複などの無駄が削減されるようになります。(行政の効率化)
個人番号とは?
■個人番号
個人番号は、平成27年10月以降に、市区町村から住民票の住所に送られる「通知カード」で通知される予定になっています。個人番号は、数字のみで構成される12桁の番号になります。マイナンバーの利用については、平成28年1月以降、社会保障、税、災害対策の分野で行政機関などに提出する書類にマイナンバーを記載することが必要になります。
例えば、所得税の確定申告の場合、平成29年2〜3月に行う平成28年分の確定申告からマイナンバーを記載することになります。個人番号は住民票コードを基礎にして作成されるため、国外に滞在されている方などで、住民票がない場合はマイナンバーを指定することができません。住民票が作成されれば、マイナンバーの指定対象となります。外国籍でも住民票のある方には、マイナンバーが指定されます。
(1) 中長期在留者
(在留カード交付対象者) |
我が国に在留資格をもって在留する外国人であって、3月以下の在留期間が決定された者や短期滞在・外・公用の在留資格が決定された者等以外の者 |
(2) 特別永住者 |
入管特例法により定められている特別永住者 |
(3) 一時庇護許可者
又は
仮滞在許可者 |
入管法の規定により、船舶等に乗っている外国人が難民の可能性がある場合などの要件を満たすときに一時庇護のための上陸の許可を受けた者(一時庇護許可者)や、不法滞在者が難民認定申請を行い、一定の要件を満たすときに仮に我が国に滞在することを許可された者(仮滞在許可者) |
(4) 出生による経過滞在者
又は
国籍喪失による経過滞在者 |
出生又は日本国籍の喪失により我が国に在留することとなった外国人 |
通知カードと個人番号カード

■通知カード
通知カードは、紙製のカードが予定されています、券面に氏名、住所、生年月日、性別(基本4情報)、マイナンバーは記載されますが、顔写真は記載されません。なお、通知カード単体では本人確認はできませんので、併せて、主務省令で定める書類(運転免許証等となる予定)の提示が必要となります。
■個人番号カード
個人番号カードは、通知カードとともに送付される申請書を市町村に、郵送するなどして、平成28年1月以降、交付を受けることができます。個人番号カードの交付を受けるときは、通知カードを市区町村に返納しなければなりません。個人番号カードは、住民基本台帳カードと同様、ICチップのついたカードが予定されており、表面に氏名、住所、生年月日、性別(基本4情報)と顔写真、裏面にマイナンバー(個人番号)を記載する予定です。本人確認のための身分証明書として使用できるほか、図書館カードや印鑑登録証など自治体等が条例で定めるサービスに利用でき、またe-Tax等の電子申請等が行える電子証明書も標準搭載されることになっています。
個人番号カードは申請により市町村長が交付することになっています。ただ、カードの取得は強制ではありません。ただ、個人番号カードは、各種手続きにおけるマイナンバー(個人番号)の確認及び本人確認の手段として用いられるなど、国民生活の利便性の向上を目的としているため国としては、個人番号カードの取得を推奨しています。2016年1月を予定している個人番号カードの交付開始以降、住基カードの新規発行は行われない予定ですが、2015年12月以前に発行された住基カードについては、有効期間内は引き続き利用することができます。
個人番号の利用範囲
国の行政機関や地方公共団体などにおいて、マイナンバーは、社会保障、税、災害対策の分野で利用されることとなります。そのため、年金・雇用保険・医療保険の手続、生活保護・児童手当その他福祉の給付、確定申告などの税の手続などで、申請書等にマイナンバーの記載を求められることとなります。
また、税や社会保険の手続きにおいては、事業主や証券会社、保険会社などが個人に代わって手続きを行うこととされている場合もあります。このため、勤務先や証券会社、保険会社などの金融機関にもマイナンバーの提出を求められるケースがあります。マイナンバー制度の導入により、平成29年1月から国の行政機関、平成29年7月から地方公共団体で情報連携が始まり、社会保障や税、災害対策の手続で住民票の写しなどの添付が不要になります。

個人情報保護の必要性

マイナンバーも、個人情報となり保護が必要になります。2005年に施行された「個人情報保護法」との違いがありますので会社は注意が必要です。個人情報取り扱いにおける「個人情報保護法」と「マイナンバー法」の違いをみていきます。個人情報保護法とは、5,000件を超える個人情報をデータベースとして利用している事業体を「個人情報取扱い事業者」と定義し、その取扱いについて様々な措置を義務化したもので2005年4月に施行されました。よって、個人情報保護法では、個人情報件数が5,000件以下の事業所は罰則の適用はありません。
一方、マイナンバー法の個人情報の取り扱いですが、個人番号が含まれる個人情報のことを特定個人情報と呼びます。特定個人情報も個人情報の一部なので、原則として個人情報保護法が適用されます。さらに、特定個人情報は、マイナンバーによって名寄せなどが行われるリスクがあることから、個人情報保護法よりも厳しい保護措置を番号法で上乗せしています。
また、番号法の保護措置は、個人情報保護法が適用されない小規模な事業者にも適用されます。マイナンバーに関する情報の安全管理対策は、個人情報保護法における安全管理対策と大きく変わることはありません。すでに個人情報保護規程を持っている会社は、その規定に基づいて運用を行う必要があります。
一方、個人情報件数が5,000件以下の事業所場合、個人情報管理規程を作成していない企業がほとんどではないでしょうか?ただ、マイナンバー法施行後は、小規模な事業所でも特定個人情報を取り扱うため、マイナンバー法に基づいた規程を作成し安全管理を行う必要があります。会社の機密事項や個人情報は、いったん外部に流出してしまうと、その対処や場合によっては訴訟がおきるなど対応に大変な労力を要することも少なくありません。
秘密漏えいは、外部よりも内部の関係者からの漏えいケースが多く、会社として管理規程の作成や特定個人情報を取り扱う社員に対して教育を行っていくことが重要になります。

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