人事制度に関するプロフェッショナル集団 - 有限会社 人事・労務
 

障がい者雇用のルール

従業員が一定数以上の規模の事業主は、従業員に占める身体障がい者・知的障がい者の割合を「法定雇用率」以上にする義務があります。(障がい者雇用促進法43条第1項)

また精神障がい者については雇用義務はありませんが、雇用した場合は身体障がい者・知的障がい者を雇用したものとみなされます。障がい者雇用促進法施行令の改正により、法定雇用率が1.8%から2.0%に引き上げられました(平成25年4月1日より施行)。 これによって、障がい者を雇用しなければならない事業主の範囲が、従業員規模56人以上から50人以上となっています。

障がい者を雇用するためには、作業施設や作業設備の改善、職場環境の整備、特別の雇用管理等が必要となるために、健常者の雇用に比べて一定の経済的負担を伴うことから、障がい者を多く雇用している事業主の経済的負担を軽減し、事業主間の負担の公平を図りつつ、障がい者雇用の水準を高めることを目的として 「障がい者雇用納付金制度」が設けられています。具体的には、法定雇用率を未達成の企業のうち、常用労働者100人超(平成27年4月より200人超から引き下げられました)の企業から、障がい者雇用納付金が徴収されます。(不足1人あたり月額5万円。ただし、中小企業は期限付きで月額4万円となっている)

この納付金を元に、法定雇用率を達成している企業に対して、調整金、報奨金が支給されるしくみになっています(法定雇用率を達成し、さらに超過している場合は1人あたり月額2万7千円を支給)。

 

障がい者を5人以上雇用する事業所では、「障がい者職業生活相談員」を選任し、その者に障害のある従業員の職業生活に関する相談・指導を行わせなければなりません。(障がい者雇用促進法79条)

 

(1)障がい者雇用状況報告
従業員50人以上の事業主は、毎年6月1日現在の障がい者の雇用に関する状況(障がい者雇用状況報告)をハローワークに報告する義務があります。(障がい者雇用促進法43条第7項)
毎年報告時期になりますと、ハローワークから従業員50人以上規模の事業所に報告用紙が送付されます。必要事項を記載し、7月15日までに提出しなければなりません。

(2)解雇届
障がい者を解雇しようとする事業主は、その旨を速やかにハローワークに届け出なければなりません。(障がい者雇用促進法81条第1項)

平成24年10月1日より施行された 「障害者虐待防止法」 においては、障がい者を雇用する事業主は、障がい者虐待を防止するため、労働者に対する研修の実施、障がい者や家族からの苦情処理体制の整備などの措置を講ずることが必要です。(障がい者虐待防止法第21条)

障がい者を採用するときの留意点

通常、社員を採用する場合は履歴書等をあらかじめ提出してもらい、面接などで採用決定を行う会社が多いでしょう。しかし、障害のある社員の採用については通常の社員とは違った方法をとることが望ましいでしょう。例えば実際にやってもらおうと思っている業務を2週間程度体験してもらい、現場業務をこなせるめどを立てたうえで採用面接を行っている会社があります。障害ゆえに「面接」という改まった場面で相応の言葉づかいをすることが難しい障がい者にとっては、有効なやり方です。
現場では、採用面接時に聞き出した応募者の保有能力と、入社後にいざ現場に出てから発揮する能力が異なるミスマッチが起こることが少なくありません。このミスマッチを少しでも少なくするために職場実習で発揮能力を見ることは重要です。

 

採用の段階で傷害のことをどの程度聞いてよいのか、就業上必要となる配慮にはどのようなものがあるのか、多くの企業は不安に思うものです。しかし、自社の仕事をやってもらう上で必要とおもわれることはどんどん積極的に聞き、可能な限り配慮はするが、対応できないことはかっきりと伝えるという姿勢が望ましいでしょう。また生活面の支援は、本来、職場が関わることではありませんが、緊急時の連絡先や連絡方法や生活面の相談先を確保しておくことは重要です。

◆障がい者の雇用実態調査の概要(平成25年 厚生労働省) 会社への調査

項目 身体障害 知的障害 精神障害
正社員の割合 48.1% 16.9% 32.0%
所定労働時間が30時間以上の割合 81.8% 61.9% 68.9%
職業 事務的職業が 31.7%と最も多く、次いで専門的、技術的職業(14.3%)、販売の職業(13.6%) 生産工程従事者が 5.6%と最も多く、次いで運輸・清掃・包装等従事者が 21.9% 事務的職業が 32.5%と最も多く、次いでサービスの職業(15.1%)、生産工程従事者(12.9%)
平均賃金(月) 223,000円 108,000円 159,000円
平均勤続年数 10年 7年9か月 4年3カ月

 

◆障がい者の雇用実態調査の概要(平成25年 厚生労働省) 働く障がい者への調査

項目 身体障害 知的障害 精神障害
職場における改善が必要な事項や要望で多かった回答 能力に応じた評価、昇進・昇格(28.0%)
「調子の悪いときに
休みを取りやすくする」(19.6%)
「今の仕事をずっと続けたい」
(52.3%)
「能力に応じた評価、昇進・昇格」(31.2%)
「調子の悪いときに休みを取りやすくする」(23.1%)
将来に対する不安 老後の生活が維持できるか
(63.9%)
「親がいなくなったら生活を助けてくれる人がいなくなる」
(37.3%)
「仕事を続けられるかどうか」(71.5%)

 

◆障がい者を雇入れる際に入手しておくとよい情報(一例)

聞取り項目 聞取り記録の例
障害名・疾患名 統合失調症
配慮を希望する事項 残業があるときは、早めに教えてほしい。
できればあまり納期の厳しくない部署への配属を希望。
勤務希望日数 4日/週(通院のため水曜日を除く)
勤務希望時間 4〜5時間/日、6時間以上は難しい。
手帳 精神保健福祉手帳 2級
かかりつけ医療機関 ○○○クリニック
受信頻度 2週間に2回(水曜日)
不調時の状況や対処方法 ・注意力、集中力の低下。具体的には会話や動作が通常に比べてスローテンポになり、指示内容が把握(理解)できなくなる。
・頓服薬を服用し休養をとる。自己管理によるケアは可能
服薬 朝と就寝時
主治医からのアドバイス 焦らず無理をしないこと。自分のペースで物事に取り組み、進めていくこと。
生活面の相談先 就労支援センター○○○ 担当:○○
電話番号:○○-○○○-○○○
災害時の配慮について希望すること あまりに混雑した電車に乗ると、病気が発症しないか不安。状況に応じて保護者が迎えに来るまで社内に残しておいていただきたい。
災害時緊急連絡先(携帯電話)
○○-○○○-○○○ 続柄:母

 

国は、障がい者雇用を推進するために様々な助成金・奨励金制度を設けています。特に、初めて障がい者を雇用する会社や中小企業に有利な助成金・奨励金が充実しているのが特徴です。
雇用関係助成金を活用するには、ハローワーク等の国が指定した機関から職業紹介を受ける必要があります。したがって、職場実習をする場合などは、実習前に会社からハローワーク等に申し出て、実習差y専用の求人を出す予定であることを申し出てハローワークの紹介として雇入れます。

⇒雇用関係助成金の一覧(厚生労働省)

 

障がい者の労働条件を決定するにあたり、「障がい者だから特別扱いをしなければならない」といったことは基本的にはありません。労働基準法を遵守したうえで、個別の労働能力に見合った労働条件を設定し、賃金を支払うという姿勢でよいでしょう。国が5年ごとに行っている「障がい者雇用実態調査」(下図)によると、身体障害のある労働者は、30時間以上働いている割合が知的、精神障がい者に比べて多く、高い賃金をしはらわれちえる場合が多いです。バリアフリーな環境整備ができる会社、内部障害のある方の通院時間をかくほできる会社などであれば、身体障害のある方の力をいかせるでしょう。
知的障がい者の労働条件については、賃金が低めに抑えられているにもかかわらず、働く障がい者本人への調査結果を見ると「今の仕事をずっと続けたい」という回答が最も多くなっています。「安心して働き続けられる労働条件」が一つのカギになっていると思われます。

精神障がい者については、「調整の悪い時には休みを取りやすくしてほしい」という希望が2番目に多くなっています。統合失調症やうつ病の社員は調子のよい時は普通に働けますが、調子が悪くなってしまったらどうしればよいか、という不安を常に抱えています。したがって、精神障がい者の労働条件を決めるにあたっては、「勤務時間を柔軟に設定できること」「不安なときに相談できる相手がいること」などがカギとなりそうです。

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